苦い胸の痛みを乗り越えて少女が勇気を振り絞る

目次

  1. Home >
  2. 小説 >
  3. バレンタイン協奏曲 >
  4. 第二楽章章・後

バレンタイン協奏曲

第二楽章・後

「ん、ふぅ……」
 真菜の鼻から声が漏れる。啓治の熱い抱擁を受けて真菜はすでに床に崩れ落ち、啓治に抱きかかえられる格好でキスを受けていた。
 啓治の、熱烈を通り超えて執拗とさえ言えるキスは、真菜を戸惑わせると同時に大いに喜ばせた。一片の偽りもない、愛に溢れたキスだった。
「くふぅ……」
 ようやく唇が離れ、真菜は大きく息をついた。真菜以上に顔を紅潮させた啓治が、潤んだ目で真菜を見る。
「どうだった?」
「最高です」
 真菜が微笑むと、啓治もつられたように頬をほころばせた。
「でも、キスだけで終わりじゃないですよね?」
「ええっ?」
「だって、先生も」
 真菜がもじもじと体を動かす。ちょうど真菜の腰の下に、固くなった啓治のモノがコツコツと当たっていた。
「その、準備万端じゃないですか」
「あ、これは……」
 啓治は今までとは違う色に赤面した。抱きかかえられて密着しているおかげで、啓治の鼓動が高鳴っているのが、セーターの上からでも真菜の体に伝わった。同じように、真菜の鼓動も啓治に伝わっているはずだ。緊張した面持ちの啓治が知覚しているかどうかはともかく。
「真菜ちゃん、その、いいの?」
「いいですよ。ここまで来て何もされない方が、逆にショックです」
「そ、そうか。そうだよね」
 そう言いつつも、啓治はしばらく何もしようとしなかったが、意を決したように真菜の胸に手を触れた。宝物を扱うかのような慎重な手つきで、なだらかな胸のラインに沿って手を這わせ、そして次にはゆっくりと揉みしだく。
「先生、もっとキスもしてください」
「真菜ちゃんはキスが好きなんだね」
 啓治は笑いながら真菜の唇にキスをした。
 何度かキスを重ねながら真菜の胸をさすっていた啓治の手が、徐々に下に伸びてきた。胸から腹、腰への下り、ついにデニムスカートの中に啓治の手が入ってきたときには、真菜は思わす体を震わせてしまった。啓治が驚いたように手を引っ込める。
「わ、ごめん」
「謝らなくてもいいですよ。ちょっとびっくりしただけです」
「じゃあ、続けるよ?」
 真菜がコクリと頷くと、啓治は再びスカートの中に手を入れる。ショーツの上から割れ目を見つけ出し、胸を触ったときと同じような慎重な手つきで、真菜の秘部をまさぐる。
 真菜は迂遠なほどに慎重な愛撫の中に快感を見出そうと何度か体をもじもじと動かし、体を横に向けたところで啓治の股間が目に入った。股間が大きく盛り上がっていた。真菜はそっと手を触れてみる。
「わっ、真菜ちゃん?!」
「ごめんなさい。でも、触ってもいいですよね?」
 尋ねておきながら、真菜は答えを聞く前にすでに啓治の股間に触れていた。大きくテントを張った先端を手のひらで撫で回すと、チノパンの上からでも固さと熱さがよく分かった。刺激に反応して、中でペニスがぴくりと跳ねる。
 今度は啓治が焦れたように口を開いた。
「真菜ちゃん……下着脱がしてもいい?」
 いよいよ来たかと思いながら真菜は小さく頷いた。
「その代わり、先生も脱いでくださいよ?」
「わ、わかったよ」
 啓治はおずおずとチノパン、さらにトランクスを脱ぐ。ズボンの中で抑圧されていたペニスが、解放されたことを喜ぶように天を仰いだ。
「真菜ちゃんも、脱がすよ……」
 下半身を解放して気も大きくなったのか、今まで真菜の顔色をうかがうようにオドオドとしていた啓治が、答えも待たずに真菜のスカートをたくしあげた。驚く真菜を尻目に、啓治はショーツに手をかけると一気に引き下ろす。
 しかし、真菜がさらけ出した下半身を目の当たりにすると、瞬く間に積極性が消え、啓治は赤い顔で真菜の秘部をただ眺めていた。
 真菜は次を促すように啓治のペニスに優しく手を添える。その感触にペニスが大きく跳ね、真菜の秘部に見入っていた啓治も我に返った。
「あ、えっと、真菜ちゃんのも触っていい?」
「はい、触ってください」
 真菜はためらわず頷く。好きな男の人の前で下半身をさらしているにもかかわらず、なぜか恥ずかしさはなかった。
 啓治の温かい手が真菜の秘部に割れ目に触れた。そこで反応を確かめるように真菜の顔を見るが、真菜が笑みを見せるとゆっくりと指を動かし始める。啓治の愛撫は脱がす前と同じように慎重で優しい物だったが、直接触れられればさすがに下着の上からよりも段違いに刺激的で、真菜は心地よい快感に包まれた。
 真菜はふと、自分が啓治のペニスを握ったままだったことに気づいた。初体験の時の予習のためにと、志麻から押しつけられた成人コミックで身につけたうろ覚えの知識で、ゆっくりとペニスをこすってみる。
「うっ……」
 啓治が呻きながら、腰を引くように前屈みになる。
「あ、痛かったですか?」
「い、いや、大丈夫。気持ちよかったから、もっと続けていいよ」
「こうすると気持ちいいんですね?」
 真菜は啓治の反応を見ながら、ペニスを握った手を動かした。ガチガチに固くなった竿から、驚くほど熱を持った亀頭まで、上下に丹念にしごき上げる。時折ペニスが跳ねるように動くのが面白い。
 真菜からの愛撫に触発されたのか、啓治の指の動きにもリズムと力が入り始めた。指先が割れ目にめり込んで膣口を刺激し、少しでも力を入れ損ねたら中に指が侵入してしまいそうだ。
 気持ちよさに耐えながらペニスを刺激する真菜は、志麻の成人コミックの内容を思い出し、そろそろ口でやってみようかと上目で啓治を見ると、熱っぽい啓治の視線とぶつかった。
「気持ちいいですか?」
「うん、すっごく気持ちいいよ。それでね、真菜ちゃん」
「はい?」
「そろそろ、その、真菜ちゃんの中に入れてもいいかな?」
 啓治の目は、真菜が欲しいと言わんばかりに快感と欲情に潤んでいた。
 真菜としては、もう少し愛撫を楽しんでいたかったのだが、もう我慢しきれない様子の啓治を拒むのも気が引ける。少しだけ考えて、小さく頷いた。
「優しくしてくださいね」
「う、うん」
 啓治は頷き、仰向けに寝かせた真菜の上に覆い被さる。ここまでリラックスして行為を楽しめていた真菜もさすがに緊張し、痛みに備えて側にあったクッションの角を握る。
「入れるよ」
 啓治は力を入れてペニスを突き入れた。襲ってくる痛みに、真菜はクッションを握る手に力を込め、目を固く閉じて耐える。真菜が痛いと言うと優しい啓治は気を遣ってしまうだろうから、声だけは絶対に出さないようにしなければ。
「真菜ちゃん、大丈夫?」
「だ、大丈夫です。まだ入りませんか?」
「もう全部入ったよ」
「え?」
 目を開けて見れば、啓治の固いペニスがすでに根本まで真菜の中に埋め込まれていた。痛みばかり気にしていて、自分の中に入ってくる感触のようなものには全く頓着しなかった。
 真菜の膣に包まれた啓治は熱い息を漏らす。
「真菜ちゃんの中が気持ちよすぎて、もう我慢できないよ」
 言いながら、啓治は腰を振り始めた。
 動くとさらに痛みが増すが、真菜は唇を噛んで耐えながら、啓治の存在を全身で感じ取ろうとした。残念ながら痛みのせいで自分に快感が生じる余地はなさそうだったが、自分の中を出入りするペニス、啓治の熱い息、恍惚とした表情、それが嬉しかった。
「先生、気持ちいい?」
「気持ちいいよ、真菜ちゃん。もう出ちゃいそうだ」
「えっ?」
 啓治が腰の動きを早める。痛みが増して真菜は体に力を入れた。
「あっ、真菜ちゃん、そんなに締め付けたら!」
「せ、先生、もっとゆっくり」
「だ、だめだよ、気持ちよすぎて、もう出るっ!」
「ちょっと、待っ」
「あっ!」
 啓治は短く声を上げ、体を震わせた。自分の中に熱い物が注がれるのが真菜にも分かった。
「あ、先生……」
 啓治は肩で息をしながらしばらく快感を堪能し、ゆっくりと真菜の中からペニスを引き抜いた。濡れたペニスを眺めながら、真菜は小さい声で言った。
「先生、中で出しちゃったの……」
 真菜の言葉に、悦んでいた啓治の顔は途端に青ざめる。
「あ、し、しまった。えっと、ま、真菜ちゃん、その、初潮は来てるの?」
「当たり前でしょう。私のこと何歳だと思ってるんですか」
 啓治のあまりの慌てぶりに真菜もさすがに呆れかえる。
「そ、そうだよね。じゃあ、早く掻き出さないと!」
「えっ?」
 真菜が聞き返すより早く、啓治が真菜の膣の中に中指を突っ込んだ。膣の中で指が蠢く感触に真菜は体を震わせる。
「ちょ、ちょっと、先生! 掻き出すなんて無理ですよ」
「いや、少しでも掻き出しておけば」
 さっきまで太いペニスが入っていたせいか、その痛みはまだ後を引いていたものの、指を奥まで入れられてもそれ自体は痛みはなかった。ただ、体が痺れるような不思議な感覚があった。
 真菜にはどう考えても効果はないと思うのだが、啓治は必死で中の精液を掻き出そうとする。それで啓治が少しでも安心するならと思い、真菜は彼の好きなようにさせていた。
 だがしばらくそうしていると、膣の感覚が変わってきた。そんな気は全くない啓治の指の動きが、どうしようもなく気持ちよくなってきていた。啓治がやりやすいように、つい足を大きく広げていた。
 精液を掻き出しているはずなのに、膣と指が生み出す水音が増してきているせいで、啓治も気がついたようだった。少し驚いたような表情を真菜に向ける。
「真菜ちゃん、ひょっとして気持ちいい?」
 真菜は頬を染めながら、何も言わず横を向いた。気づかないふりをしてくれればいいのに、と思う。
 返事をもらえなかった啓治は、黙って続きを始める。だが、その意識は明らかに、精液を掻き出すより真菜に快感を与えることに向いていた。
 真菜は啓治の指が生み出す快感に息を乱す。それでもまだ声を漏らすのは我慢していたが、啓治が中指だけでなく薬指まで同時に入れ始めると、さすがに声を上げてしまった。
「あっ」
 啓治が中指と薬指を出し入れする。痛みはとっくに吹っ飛び、ただ快感ばかりが高まっていった。
「あ、んっ、あっ」
 我慢することを忘れて真菜は何度も喘ぐ。
 どんどん高まってくる快感に我を忘れ、そして今まで感じたことのない快感に頭が真っ白になる寸前、密壺と化した膣から啓治の指が抜かれた。
「あっ……」
 寸止めを食らった真菜は、体を震わせて啓治を見る。
 啓治は焦らしたわけではなかった。啓治は真菜を刺激しながら、もう片方の手で自分のペニスも刺激していたようで、これ以上ないほどに固く太く膨張していた。
「ごめん、真菜ちゃん。もう一回いいかな?」
 真菜は啓治が言い終わる前に頷いていた。啓治は真菜の反応に驚きと喜びを見せながら、そそり立つペニスを再び真菜の中に突き入れた。
「んあっ」
 指とは全く異なる挿入感に、真菜は大きく悶えた。
「ま、真菜ちゃん、まだ痛い?」
「大丈夫です、だから動いてください」
 焦れた真菜の言葉に、啓治は即座に動き始める。
「んっ、あっ」
 あまりの快感に真菜は何度も体をのけぞらせる。さっきと同じモノを入れてるとは思えないほどの気持ちよさだった。
「ま、真菜ちゃんの中、さっきよりももっと気持ちいいよ」
「私も……あっ」
 啓治がラストスパートをかける。膣全体が激しく擦り上げられる快感に、真菜は耐えきれずに首を振る。
「も、もうダメっ」
「僕ももう出る!」
「ダメ、ダメぇっ!」
 真菜の快感が絶頂に達し、上体を浮かせるように大きく体を跳ねさせた。同時に、啓治は呻きながらペニスを引き抜いた。真菜は激しい快感の中、自分のお腹の上に放たれた精液の熱さを感じ取っていた。


 風呂場から機嫌が良さそうな啓治の鼻歌が聞こえてくる。汗を落としたいという真菜の希望に応えて、せっせとお風呂の準備をしてくれているところだ。
 真菜は自然と頬が緩むのを感じる。一時は諦めかけた恋だったのに、こうも上手くいくとは思わなかった。これも全て、背中を押してくれたお菓子屋の店員のおかげだ。
 真菜はあの店員に会いたいと思った。恋していた相手と結ばれた直後に他の男のことを考えるのも我ながらどうかと思うが、今すぐ会って、今日のことを報告しお礼を言いたい。なんなら電話でもいいのだが、電話番号を知らないのが残念だった。
「あ、そうだ」
 ふと思い出して、真菜は携帯電話を取りだした。志麻から電話が入っていたはずだ。
 携帯電話を開くと、二件の着信が入っていた。どちらも志麻からで、一件目は真菜がこのアパートに来たときに掛かってきて黙殺した時の物だったが、もう一件はほんの少し前に着信していた。留守電に入っていたメッセージを一件目から再生する。
『志麻でーす。いま忙しいのかな? えっとね、バレンタイン突撃してきたよ。結果は……まあ、留守電で言うのもなんだから、今度会ったときに話すよ。まったねー』
 案の定、最初の電話は志麻の突撃報告だった。声がまるでスキップしているように楽しげに弾んでいたから、多分、突撃成功したんだろう。あのお転婆志麻がどんな顔で告白したのやら、想像しておかしくなりながら二件目を再生した。
『まだ出ないの? 何やってんの、真菜』
 一件目とは打って変わって、今度の志麻は不機嫌だった。
『今、美朱んとこに来てるんだけど、美朱が大変なの。これ聞いたら、すぐあたしんとこに電話して』
 早口で捲し立ててメッセージが切れた。話の内容と、いつになく真剣な志麻の口調が気になり、真菜はすぐに志麻の携帯に電話をかける。応答するまでに思ったより時間が掛かり、そろそろ留守電サービスに繋がるかなと思ったところで志麻が出た。
『真菜! 今まで何してたの?!』
 威勢の良い志麻の声が飛び出し、真菜は慌てて携帯電話を耳から離した。
『急いでるときに繋がらなかったらケータイの意味が無いじゃんよ! まさかケータイ忘れて出かけてたなんて言わないよね? ちょっと、真菜、聞いてる?』
「あー、聞いてる。お願いだから、もうちょっと声落とそ?」
『それどころじゃないんだって。美朱が大変なんだ、すぐに美朱の家に来てよ』
「大変って、何があったの?」
『それがさ』
 志麻が心持ち声のトーンを落とす。声量は相変わらず大きかったが。
『美朱、すっごく落ち込んでてさ。何も言わないからよく分かんないんだけど、どうも告白してフラれちゃったみたいなんだよね』
「嘘」
『あたしも嘘だと思いたいんだけど。とにかくさ、美朱がひっどく落ち込んでて困ってるから、すぐに美朱の家に来てよね』
 言いたいことだけ言って、こちらの都合も聞かずに電話が切れた。
 真菜は首を振る。三人の中で告白が一番成功しそうなのは美朱だと思っていた。少しばかりお転婆の度が過ぎる志麻や、理が勝ちすぎて屁理屈女と揶揄されることも多い真菜と違い、美朱は同性から見ても可愛いと思える子だ。
 どこの誰だ、可愛くて性格も良い美朱を振るような男は。
「いつもの、あの元気な友達かい?」
 啓治が部屋に顔を出す。聞こえていたのか聞いていたのかはわからないが、志麻の大声は離れていてもわかったようだ。
「はい、いつも声が大きいんですよね、あの子」
 声だけで笑いながら、啓治は笑っていない目で真菜を見る。
「行ってあげなよ。友達が困ってるんでしょ」
「え、でも……」
「僕の方は気にしなくていいよ。僕と君が顔を合わせる機会はいくらでもあるんだから。続きはまた今度の楽しみにするよ」
「……ありがとう、先生」
 真菜は手早く出かける用意をすると、啓治の頬にキスをして玄関を飛び出した。

▲PageTop

  1. Home >
  2. 小説 >
  3. バレンタイン協奏曲 >
  4. 第二楽章・後