中学生の男女の、バレンタインデーを舞台にした恋愛ストーリー

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一日遅れのバレンタイン

中編

「つまんね」
 友哉はゲームコントローラーを投げ出してカーペットに寝転ぶ。ゲームオーバーのBGMを鬱陶しく思いながら携帯電話を開くと、もう午前0時を回ろうとしていた。明日も学校があるので、健全な中学生としてはとっくに寝ていてもおかしくないところだが、全く眠くならなかった。
 明日に差し支えようが構いやしない、なんなら学校なんて仮病でサボればいい。友哉の仮病は母親にも見抜かれたことはない。ただ一人、友哉の仮病を見抜けるのアイツだけだ。
 ふと友哉は携帯のメール画面を開いた。メールの新着は来ていない。メールが来れば音も鳴るし、バイブもなるし、アイコンにも表示される。いちいちメール画面を開くまでも無いのだが、ひょっとしたらと思いつい確かめてしまう。
「……何やってんだ、俺」
 自嘲気味に一人ごちて、携帯を机に放り出した。起きていてもつまらないことばかり考えてしまう。こういうときは寝るに限る。眠くないが、寝てしまったほうがいい。そう考え、友哉がファンヒーターのスイッチに手をかけようとしたとき、ベランダのガラス戸が小さく音を立てた。
 友哉は強張った動きでカーテンが閉められたガラス戸を振り向く。息を潜めて注視していると、再びガラス戸を叩くような小さな音がした。友哉は思わず拳を握り締める。友哉の部屋は二階だ、何の冗談だ。
 友哉は大きく深呼吸すると、大股でガラス戸に歩み寄り、一気にカーテンを引き開けた。
「げっ!」
 ベランダに、長い髪を風で吹き乱した青白い女が立っていた。
 恐怖と驚きのあまりに、友哉はその場で腰を抜かしてしまった。四つん這いで震えながら部屋の出口に向かう。
「あわわ……」
「ちょっと、トモヤ! 寒いって、早く開けてよ」
「あわ……あ?」
 聞き鳴れた声に振り向いてよく目を凝らせば、幽霊の正体は友美だった。友哉は別の意味で驚きを隠せずにいながら、まだショックで震えている手でガラス戸の鍵を開けた。すかさず友美がガラス戸を開けて部屋に入り込み、ファンヒーターの前に座り込んだ。
「あー寒かった。友哉ってばなかなか開けてくれないんだもん」
 ファンヒーターの暖気に当たって、青白かった友美の顔に血色が戻ってきた。
 ようやくショックから立ち直った友哉は、ガラス戸とカーテンを閉め直して友美に向き直る。
「お、おまえな、心臓が止まりかけたぞ! 死んだらどうしてくれる」
「声がデカいって、トモヤ。下でおばさんたち寝てるんでしょ? 起きちゃうよ?」
 友哉は続けざまにブチ撒けようとしていた言葉を無理やり飲み込む。が、冷静になればなるほど疑問符が湧き出てくる。
「おまえ、急にベランダから何の用だよ。もう十二時過ぎてんぞ。つーか、どうやってベランダに入りやがった。ここ二階だぞ」
「どうやってって、柿の木からに決まってんじゃん」
 あっさりと言う友美に、友哉は絶句して追求する気を失った。友哉の家の裏庭には柿の木が植えられており、うまく枝を伝うと友哉の部屋のベランダに登ることが出来る。実際に二人は何度もそうやって部屋に入ったことがあるが、それは小学校低学年の頃であり、しかも双方の両親から危険だからとこっぴどく叱られて以降は一度もやっていない。
「でも、冬の夜中にやるもんじゃないね。凍え死ぬかと思った」
「冬の夜中だろうが夏の真っ昼間だろうが、中学生にもなってやることじゃねーぞ」
 言いながらよく見れば、友美はパジャマにカーディガンを羽織っただけの格好だった。
「な、なんつー格好してんだ。ってか、本当に何の用だよ?」
「あ、そうそう。はい、これ」
 友美は友哉に向き直り、手にしていた包みを差し出した。
「バレンタインのチョコだよ。喜んで受け取れ」
 半ば押し付けるように手渡された包みを受け取りながら、友哉は唖然としていた。
「……状況がよく飲み込めねーんだけど」
「バレンタインのプレゼントを手渡しているって状況。なんでこんな単純明快なことが理解できないの? そこまでバカだと私もフォローできないよ?」
 いつも通りの毒美がそこにいた。
 友美とこういうとりとめのない会話をするのも随分と久しぶりのように感じる。少し前まで、これは当然のことであり、時には邪魔くさいと思うことでもあったが、今では非常に貴重で、自分にとって欠かせないことだと身に染みていた。
「つーかさ」
 友哉は頭をかきながら首を傾げる。
「トモミ、俺にチョコくれないとか言ってなかったか?」
「言ってないし」
「絶対言った」
「絶対言ってない。私は、『バレンタインデーに』チョコをあげないって言ったはずだけど?」
「……ますますわけわからん」
「なんでよ。トモヤ、自分で言ったじゃん。もう十二時過ぎてるって」
 友哉は十秒ほど考え込んでからようやく理解した。日付は変わって、今は二月十五日である。バレンタインデーは何分か前にすでに過ぎ去っていた。
「はあ、そういうこと? なんでそんな面倒なことすんだよ」
「だって、十四日のうちにチョコあげてたら、トモヤはタカシ君たちとの競争に、私のチョコも数に入れてたでしょ?」
「そりゃそうだな」
「それがイヤだから、わざと十五日になるの待ってからプレゼントしたんだよ」
「なんだそりゃ。どんな嫌がらせだよ」
 おかげで友哉の収穫はゼロで、タカシから散々にコキおろされたもんだ。
「嫌がらせじゃないって。私は遊びでチョコをあげるわけじゃないんだから、そういうゲームに使われるのが嫌なの」
「ゲームったってな。これには男のメンツが」
 友哉は言いかけて、友美の言葉に潜む強烈な示唆に気がついた。そういえば、あのケンカのときも同じ言葉を聞いた気がする。遊びじゃないとしたら、このチョコレートは──。
「トモミ。ひょ、ひょっとしてこれって」
「ちょ、ちょっと、変なこと説明させないでよね」
 友美は柄にも無く頬をわずかに赤く染めて背を向けた。
「……多分、トモヤの想像通りだと思うからさ」
 友美の消え入りそうな声に、友哉は大げさではなく本当に感動に打ち震えた。手から零れ落ちたと思っていたものが、今までより一層輝きを増して手の中に残っていた。
「トモミっ」
 友哉は感極まって、背中から友美を抱きしめた。友美は驚いて体をもがく。
「わっ。と、トモヤ?!」
「俺も、トモミが好きだ」
「えっ?」
 ピタリと友美の動きが止まる。すかさず友哉が友美を抱く両腕に力をこめた。友美の体の柔らかさと暖かさがパジャマ越しに伝わり、癖の無い髪からはシャンプーの香りが友哉の鼻をくすぐった。ずっとこのままでいられたらいいのに。
「あ、あのさ、トモヤ……」
「なんだよ、いいとこなのに」
「その……腰に何か当たってるんだけど」
「……げっ」
 全身で友美の体を感じていたせいか、ペニスがしっかりと勃起していた。友哉はあわてて友美から離れる。あれだけ密着して抱きしめていれば、感付かれても仕方が無い。
「こ、これは、その。仕方ねーだろ、男なんだから」
 友哉は完全に開き直って抗弁した。友美は友哉の方に向き直ると、怒るか毒美になるかという友哉の予測を裏切り、照れ笑いのような表情を浮かべて言った。
「男だから、仕方ないね」
 どう反応していいかわからず友哉が戸惑っていると、友美は頬を染めて友哉の下半身を見た。友哉のパジャマはスウェット地の柔らかい素材なので、勃起したペニスで立派なテントを張っていた。
「あのさ、トモヤ、触っていい?」
「お、おう。遠慮するな」
 友哉の頭は混乱の極みで、なぜか意張り気味の口調で頷いた。友美は恥ずかしそうに床にヒザを付くと、パジャマのズボンとパンツを一緒に一気に引きおろした。てっきりズボンの上から触られるのだとばかり思っていた友哉は、思わずニ、三歩後ずさる。
「い、いきなり脱がすかよ」
「えー、だって触っていいって言ったじゃん」
「そりゃ言ったけど、ズボンの上からかと思ったよ」
「それじゃ、触ったことにならないじゃん」
 友美は言いながら友哉のペニスをまじまじと見つめる。小さい頃には一緒にお風呂に入ったこともあり、友哉の裸を見るのは初めてではないのだが、あの頃に見たのと、いま目の前で巨大化した物が同じものだとは思えなかった。
「触るよ」
 言うなり、友美の両手が友哉のペニスを包んだ。寒い夜中を来たせいか、それとももともと冷え性の気があるのか、友美の手はひんやりと冷たかった。その適度な冷たさが、熱を帯びたペニスには気持ちよく、友哉は声を漏らしそうになった。。
「あれ? トモヤ、また少し大きくなったよ?」
「まあ、な」
 手の冷たさもペニスの熱を奪うには至らず、それどころかますます熱さと硬さを増して、もはやはち切れんばかりに膨張していた。
「なあ、トモミ。おまえ、フェラチオって知ってる?」
「う、うん。ちょっとは知ってる」
「……してくれる?」
「うん……いいよ」
 友美は恥ずかしげに、おずおずと友哉のペニスを口に含んだ。
「おおっ」
 あまりにも刺激的過ぎて、友哉は今度は本当に声を上げてしまった。友美が驚いてペニスから口を離す。
「痛かった?」
「い、いや、すんげー気持ちいい」
「気持ち……いいんだ」
 友美は独り言のように漏らして、もう一度ペニスを口に含んだ。今度は友哉も声を漏らさずに済んだが、ペニスの方は刺激に反応してピクリと動く。なんだか別の生き物のようにも見えるペニスを口の中に感じながら、友美はうろ覚えの知識で愛撫をする。
 フェラチオと言っても、友美のそれは出し入れはせずに口の中で舌をチロチロと動かす程度のものだったが、一番敏感な部分に舌が絡みついてくる感触は、えも言われぬほど気持ちよかった。しかも、亀頭をたっぷりと含む口の中の暖かさと、竿の部分を握る手の冷たさのコントラストが、否応無くペニスの感覚を研ぎ澄ます。
 オナニーとは全く違う気持ちよさに、友哉は抵抗することが出来なかった。
「あっ、トモミ、出ちまうっ!」
 友哉は慌ててペニスを引き抜くが快感は止められず、勢いよく暴発した。
「ひゃっ?」
 快感とともに精液が友美の顔やパジャマの上に派手に飛び散り、友美が小さな声を上げる。友哉は射精が止まるまで快感を堪能していたが、快感と興奮が収まって冷静になってくると、なんとなく気まずい気持ちになってきた。
「わ、悪ぃ。あんまり気持ちいいから、つい」
「ん、いい」
 友美は短く言い、まだ手で握ったままのペニスから糸を垂らしていた精液を指先ですくい取る。
「これが精液ってやつなんだ……」
 言いながら、友美は再びペニスを口にくわえた。イッたばかりの敏感なところまた刺激され、友哉は思わずのけぞりながら慌てて離れた。
「ちょ、ちょって待てって」
「なんで? 気持ちいいんでしょ?」
「つ、次はおまえの触らせろよ」
 友美は驚いて顔を赤くするが、小さく頷いた。
「いいよ」
「……言っておくけど、パジャマの上から触るのは触ったとは言わないんだぞ?」
「……いいよ」
 友美はますます顔を赤くしながら、もう一度頷いた。

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